俳句の作り方     胡桃くるみの俳句

 胡桃割る聖書の万の字をとざし     平畑静塔ひらはたせいとう

くるみわる せいしょのまんの じをとざし

 

 

 胡桃が秋の季語。

「クルミ科の落葉高木の実。

日本に自生するのは鬼胡桃で、山野の川沿いに生える。

秋に熟すと青い果皮が裂けて核果が顔を出す。

その硬いからには深いしわがあり、なかの子葉の部分は栄養価が高く美味である。

一方、姫胡桃は変種で、からの表面に皺がほとんどない。

菓子など様々に加工される。

近年は特に健康食品として注目度が高まっている。」

 (俳句歳時記 秋 角川書店編)

 胡桃割る聖書の万の字をとざし

 

 

 胡桃割る聖書の万の字をとざし

 

 

 句意を申し上げます。

胡桃を割ろうとしています。

『万』の字のある聖書のページを閉じました。

 

 

 鑑賞してみましょう。

聖書を開くとある頁の「万」と言う字が目に入りました。

「万」はただそこに印刷されているだけでした。

私はその形をしばらく黙ってみていました。

何かを考えるというよりは、ただ見ていたのでした。

 机の上の胡桃を手に取りました。

殻は硬く掌に重さを感じました。

私は胡桃を割ろうとしていました。

ふっと「万」の字が目の前に浮かんで消えました。

 胡桃は音を立ててからがはじけました。

その瞬間、字の形がくっきりと目の前に現れました。

字のかたちと殻の割れ目の形が重なりました。

そこで一句がはっきり立ち上がったのです。

 胡桃割る聖書の万の字をとざし

 

 

 

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